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たなろぐ

旅行が趣味の香川県高松市在住のサラリーマンです。インスタグラムもやってます。IDはtanalog

金沢21世紀美術館に影響を与えたかも?奈義町現代美術館に行ってきました。

 青春18きっぷを利用して奈義町現代美術館に行ってきました。奈義町現代美術館は岡山県北部にある奈義町(なぎちょう)が運営する町立の現代美術館です。この美術館、ずっと行きたかったんですよね。(^_^)

 その理由は、、、。ここは国内外の建築賞を受賞した建築家、磯崎新(いそざき・あらた)が建物の設計から、展示作品選定まで関わったたことで有名な現代美術館だからです。それだけでもすごいんですが、奈義町現代美術館は建物と作品が物理的に一体となった状態(その美術館でしか見られない。)で美術鑑賞ができる現代美術館の最初でもあるんです。

 例えば今や全国的な知名度と集客力を誇る石川県の金沢21世紀美術館(金沢市運営)も建築家SANAA設計の建物と美術作品が一体となって展示されていますが、それよりも早く設立されたのがこの奈義町現代美術館なんですね。ここからは憶測ですが、きっと金沢21世紀美術館の担当者もここを参考にしているはずです。(奈義町現代美術館の開館は1994年、金沢21世紀美術館は2004年の開館です。)

 そんな美術館が岡山県にあったことが驚きです。奈義町現代美術館職員の方のお話によると当初、磯崎新さんは美術館設立に乗り気では無かった様ですが実際に奈義町を訪れ、その景色に心動かされて協力することにしたみたいです。確かに美術館の裏には那岐山(なぎさん)が広がっていて美術館のいい背景になっていました。

 奈義町現代美術館の常設の展示作品は3つあり、それぞれが「太陽」、「月」、「大地」の部屋に分けられて展示されています。この3つの部屋の位置にも意味があって、そのことがパンフレットにも書かれています。ちょっとパンフレットから引用してみます。

現代美術館は道路計画からの制約を飛び越え、この土地の自然条件にもとづいた固有の軸線を持つ。すなわち「太陽」の軸は正確に南北線と重なり、「月」の平坦な壁は中秋の名月の午後10時の方向を指し、「大地」の長軸は秀峰那岐山の山頂にむかっている。

 部屋の向きを自然と調和したものにしているところが面白いですよね。これは太陽、月、山の変化を美術作品に反映させることで何時行っても違う表情の作品を見られるということです。すごい。

 3つの部屋で1つ選ぶとしたらやはり美術館のシンボルにもなっている「太陽」の部屋でしょうか。この部屋は美術館の外からでも目立っています。この筒の中には荒川修作、マドリンギンズの「偏在の場・奈義の竜安寺・建築する身体」という作品が展示されています。言葉で説明するのは難しいのでまずは公式HPを見て下さい。

奈義町/「太陽」の部屋 ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫

 筒の中は足下は不安定で側面には竜安寺の広がっていてシーソーやベンチも置いてあるという謎の世界が広がっています。(^_^;)部屋には電灯が無く筒の先端に貼り付けられた板を通して僅かに差し込む太陽の光だけで展示を見ることになります。まさに不思議空間です。変な感覚に陥りますよ。(^_^)

 不思議空間も良いんですが、私が気に入ったのは筒に入るまでの通路です。筒へは横から入るのではなく筒の下に繋げられた螺旋階段から入ります。この螺旋階段とその小部屋がすごいんです。床は斜めになっているし、螺旋階段の中心軸も傾いているという登りにくさ満点の仕様になっています。バリアフリーの対極にあるこの螺旋階段ですがその登りにくさが却って筒の中を見た時の達成感や気持ち悪さ、違和感を際だたせてくれています。

 更に荒川修作がこういう造りにしたのはバリアフリー化が進んだ現代社会はケガをするような場所が減った反面、「人を助ける。人から助けて貰う。」という人間同士のコミュニケーションも減少していて、その大切さを再認識してもらうためでもあったみたいです。

 なるほどなぁ。バリアフリー化は大切ですけど、人間同士のコミュニケーションは少なくなりましたよね。これはインターネットにも同じことが言えそうです。例えばアマゾンで本を買う様になってから便利にはなりましたけど、本屋の店員さんとのコミュニケーションは以前より少なくなりましたよね。昔は本屋に足繁く通っていれば店員さんが自分に合う本を紹介してくれることがありましたが、今では的外れで機械的なアマゾンのオススメ本が画面に表示されるだけですからね。それに名物店員さんもいましたよね。これには色々と考えさせられました。

 ちなみに螺旋階段がある小部屋の四方の壁は奈義町現代美術館を訪れた人から送られてきた写真がびっしりと貼られています。ここもオススメです。ひとつひとつ見ていくとどれも写真に写った人のプライベートな写真ばかり。そんな写真を赤の他人の自分が見ていることが不思議でした。

  もちろん、太陽の部屋以外の展示も見応えがあるのでそちらもオススメですよ!今回の訪問では幸運にも奈義町現代美術館の職員の方に案内していただき本当に勉強になりました。展示作品で疑問を持ったら質問してみるのもいいかもしれません。(^_^)建築家の建物と芸術家の作品を一体にして展示する現代美術館のルーツ、奈義町現代美術館に是非、足を運んでみて下さい。(^o^)

奈義町現代美術館ホームページ

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